究極の謎と〈法〉

ローダン・シリーズにおける〈究極の謎〉とは、コスモクラートが超コンピューター・ヴィールスインペリウムで解かんとする3つの謎を指す。
なお、至高の謎はないw

新銀河暦424年、ヴィールス研究者キウープに遭遇した人類は、コスモクラートが太古破壊されたヴィールスインペリウムを再建し、原初の謎を解こうと試みていることを知る。
ワリンジャーやシェーデレーアらのキウープとの対話で三つの謎の一部の文言が判明するが、最終的にすべての内容がわかるのは、騎士叙任のためノルガン=テュア銀河の惑星クラト、ケスジャン聖堂を訪れたローダンが、ポルレイターの残した“モラガン=ポルトの憲章石”に対峙したときである。
条文に曰く、

問1. 〈フロストルービン〉とは何か (Was ist der Frostrubin?)
問2. 〈無限アルマダ〉は何処に始まり、何処に終わるか (Wo beginnt und wo endet die Endlose Armada?)
問3. 〈法〉は誰が創り、いかなる作用があるのか (Wer hat das GESETZ initiiert und was bewirkt es?)
原語es bewirkt は多様な意味をもつため暫定訳。過去ファンダムでは“何が記されているか”が定番だった。

やがてローダンは、ポルレイターが220万年前に封印したフロストルービンが、敵対する超知性体セト=アポフィスによって収奪した意識断片の貯蔵庫として利用されていることを知るが、真の解答はアルマダ王子ナコールの物語るオルドバンの回想に登場する。

解1. プシオン場トリークレ=9〈モラル・コード〉の二重螺旋の一部を成す〈コスモヌクレオチド〉。
解2. 始まりも終わりもなくアルマダとなって時空湾曲内に埋め込まれている。無限アルマダ=モラル・コード。すなわち〈宇宙コスモ遺伝子ジーン

ノル=ガマネル帝国の英雄の死後、タルクシール技術で保存されたオルドバンの意識体を、秩序勢力の任務へとリクルートしに訪れたコスモクラート・ティリクが得々と語っているので、1億年前の時点で謎のうち2つまでがすでに自明のことだった……というより、最後の謎へと探求者を導く糸口にすぎない。
「フロストルービン」のようなコスモヌクレオチドを構成要素とするモラル・コードの「無限アルマダ」が、宇宙にもたらす「法則ないし戒律」の創造者とその意味――。

モラル・コードはその情報倉内のプシオン情報量子プシクスから形成された「未来」の情報をメッセンジャーを介して宇宙へもたらす。それは宇宙を織りなす“物理法則”すらも例外ではない。
〈法〉がそれら「法則」を意味するのか、それとも秩序・渾沌勢力の行動を制限する「戒律」的意味合いをもつか、現状では不明である。

創造プログラム以前の“灰色”
深淵の地でアトランら騎士たちが対峙した〈灰色の感化力〉。それによって生まれる灰色のロードたちは、曰く「宇宙に〈創造プログラム〉がもたらされる前の生命」だという。秩序=光=白、渾沌=闇=黒と仮定して、それらが分岐する以前の秩序でも渾沌でもないもの=灰色、と考えることもできる。
しかし、後に述べる理由により、この宇宙は誕生の時点から創造プログラム……〈法〉の影響下にあったと私的には考えている。

混沌の勢力はモラル・コードを〈進化の法典コーデックス〉と呼び、そのもたらす創造プログラムを憎悪している。それこそが、彼らを現在かくあらしめ、かくありつづけることを強いているのだから。
ならば、秩序勢力よりもなおいっそう、その謎を追究しているかと思えば。実はあちらには、すでに“第3の究極の謎を解いた”存在がいるという。2300話からハンガイ銀河を負の球体にせんと盛大にドンパチをくりひろげる渾沌の終末戦隊トライトアの司令官にあたる〈カオプレッサー〉、超知性体コルトロクである。
コルトロクは秩序勢力が実験的に、戦争状態にあった互いに似ても似つかぬ(片方はヴァルペルティア系のヒューマノイド)種族を強制的に精神化させ統合した存在から進化したもので、多分に精神分裂症的傾向がある。カオプレッサーとなるにあたり、トリークレ=9の暴走で生じた負の球体で修行した結果、ローダンが解答を“見た”創造の山の対となる〈負の山〉で悟得したらしい。ただ……曰く「混沌にとり、なんの役に立つのかわからなかった」のだという(爆)
以後6900万年が経過して、宇宙の天秤が混沌側に傾いていないことから、噓ではない、のだと思う。

 究極の調和の感情がかれを満たした。一時に数百万もの事象を観察したのにもかかわらず、ただひとつの混乱もうかがえなかった。逆なのだ。観察すればするほど確信できた。個々無数のできごとをつなぐ関係を感じることを。個々それぞれのプロセスは、プロセス全体と直接に結合していることを。何ひとつ孤立して起こりはしない。無意味なことなどありはしない。すべてのできごとが、ひとつの法則の顕れなのだ。
 〈法〉!

――『エスタルトゥへの道』収録の抄訳

1272話で解と遭遇する前にローダンの見たヴィジョンは、マールなりの解答だと考えることもできるが、素晴らしいけども、たしかになんの役に立つのかわからんなw

〈法〉は普遍か?
灰色の感化力のエピソードで、「では何者かがこの宇宙にモラル・コードを設置したのか?」という疑問が当然出てくるが、これは事実上否定されている。
まず、ドリフェルの例に見るように、モラル・コードは多元宇宙的マルチヴァーサルだ。それと連動して、秩序・混沌両勢力の活動もあまたの宇宙にわたっている。
七強者システムの崩壊でアブルーセを生み出した裏宇宙アレズム。強者ヌスコギヌスが由来する、トライトアの“軍需工場”化で死滅した異宇宙エウディ=アソル=ジャロソ。中でも七強者の背信で宇宙の滅亡が加速した異宇宙タルカンは、通常宇宙よりはるかに古く、すでに収縮過程の終盤だった。
また、アトプ誕生の契機となった“伝説の最初の超知性体”捜索計画だが、この宇宙最初の超知性体は、ビッグクランチを超えて“前の”宇宙から渡来した存在だったらしい。われわれの宇宙以前から、同種の進化システムが動いていることはほぼ確定しているのだ。“遺伝子”だしね。

……と、俯瞰してみると想像以上に古く根をはるモラル・コードだが、そうなると究極の謎は意外と最近のものだ。なにしろ「霜の紅玉フロストルービン」という異名自体が、暴走したトリークレ=9を1100万年前にアポりんが意識断片の貯蔵庫として利用して以降のものである。
ぶっちゃけこの条文は、フロストルービンを封印したポルレイターの後継にあたる“この”深淵の騎士団限定のものである可能性が大きい。
では、至高……じゃないや、“他の”究極の謎があるかというと、実際にある。
アトプの裁判官サエカエルの船には〈究極評議会〉なるものがあって、彼らなりの謎を論議している。

問1. 〈法〉の地平のむこうでは何が起きるか
問2. 質問者は創造の鏡のいずれの面にあるか
問3. 時間は誰のものか

例えば“〈法〉の地平”とは、進化のたまねぎモデルでいうところの「一番外側」であり、コスモクラートより進化しているという〈テズ〉ですら及ばないとか。そりゃ実際なってみないことにはわからんよな。
どの問もコスモクラートの謎と同じものの別の側面、だそうだが。いつか、解は出るのか。

以下余談。
ローダンから諸々の話を聞かされたコスモクラートの転子状船《光力》のアンドロイドは、
「その……パルラクシュント? に書かれた、“宇宙は知的生命体で満たされるべし”ってのが解答なんじゃ?」
と言ったとか言わないとか。
なお、パルラクシュントとは、ATLAN〈アトランティスの王〉サイクルで出てくる、強者イェフェナスの名を冠する超知性体の意識断片を宿したアーティファクト。集めると、巨大なお猫様が復活するみたい。
うん。〈法〉ってか、バイオフォル播け、大群造れ、って命令書なんじゃね?(笑)
イェフェナスの活躍は5000万年前なので、実はカルタン人という線はないw

■Perrypedia:Ultimate Fragen
■Perrypedia:GESETZ

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